Understanding Connectors: A Beginner's Guide
コネクタを理解する 基礎編(第1回)
今回、コネクタに関わる選定・提案において、どのような点を理解・把握すべきか。選定する側は何を伝えるべきか、提案する側は何を確認すべきか――その両者の目線に立って、解説していきます。まず、選定する方・提案する方それぞれが、「どのようなコネクタが必要か」というイメージを自分なりに持ち、それを相手に伝えられることが大切だと考えます。そのためには、コネクタに関する基本的な知識が必要となります。

本資料では、コネクタが果たす役割、種類、構造や呼称、そして商談・提案時に確認すべき項目など、最低限知っておいていただきたい内容を整理してご紹介します。なお、今回の内容は2部構成となっており、第1回では「コネクタとは何か」「コネクタの種類」について解説いたします。続く第2回では、コネクタの「構成」「呼称」「商談・提案時に確認すべき項目」について解説し、より深い理解を目指します。 それでは、第1回の解説を始めます。
コネクタとは何?
まずは、「コネクタって何だろう?」という疑問から入っていきましょう。簡単にイメージしていただくなら、「電気と電気をつなぐもの」と捉えていただければよいかと思います。その「つなぎ方」は、使用目的や使用環境によってさまざまであり、用途に応じて多様な種類のコネクタが存在します。電気をつなぐ際には、たいていの場合、「電気を送る側」と「送られた電気を受け取る側」の部品が必要になります。この二つを“つなげて”電気を流すための部品、それがコネクタです。ちなみに、この「つなげる」という動作については、業界では一般的に「嵌合(かんごう)」という言葉を用います。今後の説明の中でも頻繁に登場しますので、ぜひ慣れておいてください。ご存じの通り、コネクタはさまざまな用途で使用されています。たとえば、電話機、パソコン、自動車、洗濯機、テレビ、ゲーム機などの日常的な製品から、航空機・船舶・鉄道・産業機器などの専門機器に至るまで、あらゆる分野で広く活用されています。
コネクタの種類
コネクタには、電気の流し方や用途に応じて、数え切れないほどの種類が存在します。(想像ですが、全世界では億単位の品種があると考えられます。) 今回は、その中でも主な接続方式として、以下の4つについて説明します。
- 電線を使用する方式
- 基板同士をつなぐ方式
- FPC(フレキシブル基板)を使用する方式
- 外部インターフェースとして使用する方式
コネクタの代表的な種類
- 電線(ケーブル)を使う
- 基板同士をつなげる
- FPC(Flexible Printer Circuits)を使う
- 防塵/防水が必要
- 高速信号を流す
- 大電流を流す
- 外部 I/F として使う(USB/RJ-45…)
1)電線(ケーブル)を使用するコネクタ
その名の通り、電線を使って接続するコネクタを指します。主なタイプとしては、電線と基板を接続する方式、および電線同士を接続する方式があります。それぞれ、電線対基板コネクタ(Wire to Board)、電線対電線コネクタ(Wire to Wire)、あるいは中継コネクタなどと呼ばれます。このタイプのコネクタでは、電線に「コンタクト」と呼ばれる金属の端子をカシメて接続する必要があり、その作業が入るのが特徴です。
電線対基板用コネクタ

電線対電線用コネクタ


※ 必ず端子をケーブルにカシメる圧着専用工具/圧着機械が必要になります。
2)基板同士をつなげるコネクタ
基板同士を直接接続するコネクタは、基板間接続コネクタ(Board to Board)と呼ばれます。基板にコネクタを実装し、水平・平行・垂直など、さまざまな方向で接続を実現するために使用されます。先ほど紹介した Wire to Board と異なり、通常、メス側(Receptacle)とオス側(Plug)の 2 ピース構成になっています。端子がハウジングに組みつけられた「アッセンブリ品(Assy 品)」として提供され、それらを嵌合させて使います。

水平接続用コネクタ

垂直接続用コネクタ

平行接続コネクタ
3)FPC(Flexible printed circuits)を使用するコネクタ
このタイプは「FPC コネクタ」などと呼ばれ、主にFPCケーブルを使って基板に接続する目的で使用されます。FPC は、基板間を直接 Board to Board で接続できない場合に、電線のようなフレキシブルな配線板で接続します。このコネクタは、FPC と基板を接続する 1 ピース構成のコネクタアッセンブリで成立します。通常のコネクタはオス・メスの 2 ピース嵌合が一般的ですが、FPC コネクタは FPC そのものが電線の役割をするため、1 ピースで接続が成立する Wire to Board タイプに近いコネクタです。
FPC接続用コネクタ

4)外部接続I/F(インターフェース)として使用するコネクタ
通常、コネクタは装置や機器の内部に搭載されており、目にする機会は多くありませんが、このタイプのコネクタは最もなじみがあるものです。名称としては「I/F(インターフェース)コネクタ」や「I/O(アイ・オー)コネクタ」などと呼ばれます。その名の通り、機器や装置から外部との接続を行うために使用されます。身近な例としては、パソコンに搭載されている USB、HDMI、LAN 用のモジュラージャックなどが挙げられます。ただし、これらはあくまで一部に過ぎません。外部との接続を目的とするため、目的によって、耐久性、防塵・防水性、外装の強度などが重視されます。さらに、外部ノイズの侵入や内部ノイズの拡散を防ぐため、金属製のシェルで覆われたものなど、多種多様な仕様のコネクタが存在します。
外部I/F接続用コネクタ


以上が第1回「コネクタとは何か」「コネクタの種類」についての解説となります。コネクタの種類は今回ご紹介した内容だけでは語り尽くせませんが、イメージをつかんでいただけたなら幸いです。第2回では、コネクタの「構成」「呼称」「商談・提案時に確認すべき項目」など、やや専門的な内容を解説する予定です。ぜひご期待ください。
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