
ESS社が提供する SABRE DAC シリーズについて
オーディオ技術の最先端を行く ESS Technology 社が提供する SABRE DAC シリーズは、昨今、ハイエンドオーディオ製品のキーデバイスの一つとして認識されております。その SABRE DAC シリーズには、自社が独自開発した特許技術の HyperStreamTM、Revolver DEM、Time Domain Jitter Eliminator が採用されております。今回はこれらの技術についての概要を説明致します。

SABRE DAC Block Diagram
1.HyperStreamTM
一般的にオーディオ用 DACのD/A 変換には ΔΣ 変調というパルス方式が用いられますが SABRE DAC シリーズの D/A 変換方式である HyperStreamTM は、ΔΣ 変調 と PWM:Pulse Width Modulator(パルス幅変調器)に似た定周波数フィードバックループとノイズシェーピングを組み合わせた独自の設計です。この技術により、デジタル信号処理の過程で発生するノイズの低減、及び過渡特性(音の立上り/立下り時の安定性)の改善に貢献します。
HyperStream
- R/F edges at constant freq.
→R/F mismatch errors are Constant.
Mismatches create a DC error that is ignored
by the analog circuits that follows

Delta-Sigma
- R/F edges NOT constant freq.
→R/F mismatch errors are harmonically
related to output level.(THD)

HyperStreamTM VS Delta-Sigma
2.Revolver DEM
SABRE DAC シリーズの出力部では、複数の HyperStreamTM を足し合わせて動作させる Revolver DEM(Dynamic Element Matching)という機能を採用しております。内容は一般的なDEMの考え方と同様で、チップ内素子のミスマッチ・バラつきを平均化しさらにノイズシェーピングによりノイズを帯域外に移動させる事で、D/A 変換の精度(リニアリティ)と音の歪特性を改善させます。
SABRE DAC Revolver DEM
3.Jitter Eliminator
SABRE DAC シリーズには Jitter Eliminator(ジッター除去機能)が内蔵されています。本機能により、オーディオ信号に含まれる大量のジッターを除去する事が可能です。ここで言うジッターとは、オーディオ信号内のクロック周波数の乱れなどを指します。ジッターを含むオーディオ信号がチップに入力されると、D/A変換が不安定になり、オーディオ品質の低下を招いてしまいます。そのため、通常は外付けのジッター除去回路が必要となりますが、Jitter Eliminator を持つ SABRE DAC シリーズは、そのような回路を必要とせず高音質なオーディオ再生を実現させます。
FFT
- 20kHz Input Tone
- 1k,1ns Sine Jitter on SPDIF input

THD+N Vs Frequency
- 20kHz Input Tone
- 1k - 10k Sine Jitter Sweep
- [100ps 500ps 1ns] Amplitude

SABRE DAC Jitter Elimination
今回は、ESS Technology 社の特許技術 HyperStreamTM 、Revolver DEM 、Time Domain Jitter Eliminator について説明致しました。弊社はESS Technology社の日本及び東南アジアの総代理店として、SABRE DAC シリーズと共にお客様の音作りをサポートいたします。